作者:四流色夜空
天国の林檎は無臭だとしても駅の近くであなたを待った
はちみつにれもんを溶かす夕ぐれのみなもを渡るやわらかき雨
欠け落ちる月のうらがわ スーパーの袋にきみのビスコをつめて
むき身のえびが橄欖油に跳ねあがり夜半のピラフに薫る汐風
蒸し焼きの貝たちは貝をあきらめてどうでもいいことだけを聞きたい
聴覚をあなたの海に差しだせばましろき鷗が夜をすべりぬ
地下鉄の出口を抜けてどこにでもある冬空にぎんいろの月
応募用紙の醤油の染みを中心にアピールポイントを打ち出した
境内の奥にたたずむ大木に手袋をはずしてふれてみる
たばこ屋のまえで見上ぐる青空にひろがる梢のしずかな芽ぐみ

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