13月の過ごし方

作者:中原りんかく

去年に、手紙の来た人たちを見送る。粛々と海に飛び込む人。人。人。
日没。海と太陽が遠くで混ざるまちのはずれの崖。
産まれたばかりの娘と手を繋いで、波の中に消えた、向かいの家のご夫婦。
今年も13月を迎えた。

窓を厚いカーテンで閉ざして、ガスランプの灯を頼りに暮らすひと月に、わたし達は各々に必要な精算を終える。ほかの多くの人と同じように、例に漏れず、わたしも日記を書いたり、本を読んで過ごす。
夏の間に蓄えた、茶や保存食を減らしながら、産まれながらにひとりであることを思い出す、など。
狭い部屋。躓きそうになる。
頼りない脚だな、と倒れた鏡に映るわたしを見てしみじみ思う。描きかけのスケッチブック。古ぼけた画集にほこりが溜まっている。
時計もない、暗い部屋にいるから、過去も現在も(あるいは未来までも)、同じ質量で通り過ぎていく。まだ見ぬ隣人と、幼いころのわたしが会話をしている。

起きたことも起きなかったことも変わらないね

13月。綯い交ぜになる場所。大きな川の流れを外れ、岸と岩に囲まれてほの暗く、かわいそうな魚たちが眠りにつく。

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