天使のいた13月

小説

うなぎ王国の発展と衰亡について/佐薙概念(ペシミ)

著:佐薙概念(ペシミ)  死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。 ...
日記

遅延性の夏/精神外傷ちゃん

執筆者:精神外傷ちゃん君へ  残春、向暑も過ぎて、春にはあんなに持て囃したくせに、今ではもう誰も桜のことなんか話していない。そんな無常もさびしくはないけど、けれど永遠に、君の永遠になりたかった、それは全く嘘じゃないのに、あの日駆け出...
書評

回避型のための弁明としてのキッチュ―ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』を読んでー/時田桜

執筆者:時田桜 恋人は、別の誰かでも良かったのではないか。 この問いはふとした瞬間に浮かび、そのたびに慌てて打ち消される。愛とは「この人でなければならない」という感覚のことだと、私たちは文学からずっと教わってきたからだ。代替可...
詩

Milky Way/星屑

執筆者:星屑 きらきらきららら、きらきら、ららら、   14%            きららきらら、  7% 、き、らき、ききら               2% インターネットに接続されていません も...
日記

13月の過ごし方/中原りんかく

作者:中原りんかく去年に、手紙の来た人たちを見送る。粛々と海に飛び込む人。人。人。日没。海と太陽が遠くで混ざるまちのはずれの崖。産まれたばかりの娘と手を繋いで、波の中に消えた、向かいの家のご夫婦。今年も13月を迎えた。 窓を厚いカー...
短歌

天国の林檎/四流色夜空

作者:四流色夜空 天国の林檎は無臭だとしても駅の近くであなたを待った はちみつにれもんを溶かす夕ぐれのみなもを渡るやわらかき雨 欠け落ちる月のうらがわ スーパーの袋にきみのビスコをつめて むき身のえびが橄欖油に跳ね...
詩

ユーザーネームを何度も変える/真夏あむ

作者:真夏あむ  djイベントの端っこで口を抑えて内臓をぐちゃぐちゃにしている大人だって少女時代があったはずで、私はあなたを取り巻く時間軸を私の母性の矛先にすることにしたよ。iQOSに巻く田舎で回したガチャガチャのめじるしがちゃらち...
批評

『大森靖子とセカイ系をめぐって――大森靖子はいかにしてセカイ系を継承し、破壊し、再構成したか』/双川望(二枚貝)

執筆者:二枚貝〈双川望〉 ※本稿は文学フリマ東京42 – 2026/5/4(月祝)にてゼロ年代サブカルチャー研究会の冊子に寄稿したものを再録したものとなります。 目次1,はじめに――大森靖子について2,セカイ系の定義と「エモ」...
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