執筆者:水埜青磁
消失点は誘拐しました 川です
被・YOU 風はほめことば 非・MINE
日記には栄養があるからね
脚をくずして海岸めくこどものパーティー
能面の替刃には栄養がない
非在の合図 きみのダンスが映えてくる
ジューシーでいい牡蠣 ジューシーで愛い牡蠣
割り算も加速すればビタミンE
嗅がれて自縛の如きヴァニラ・フレーバー
行く末がりぼんの腕から生えてくる
2025年8月15日(金)
午後三時まで気絶するように眠っていた。風呂に入る。髪を洗いながら、高校のときの寮を思い出して、いつもより多くシャワーを使った。
よく覚えていない日。はじめて「ZAZEN BOYS」を聴いた。頭がびりびりして気持ちがいい。本能寺で待ってる!
土地の当事者としてNOというわけにはいかない
B定食 白砂と手錠を入れ替える
(食事中)鳴るのは(食事中)(食事中)(食事中)
ナレーションは眉を剃るように……
(U ‘ᴗ’ )⊃━━.☆:.。.大切な薬なんだ
雨漏りにパフェスプーンが効いてくる
或いは春キャベツに酔ったレディース・コミック
外泊は耳にそぐわない
ピークが両親の触手を行き来している
カルシウムの彫刻を研ぐ卵のような三分間
2024年12月16日(月)
旅行先の旅館にて、鮮やかな起床。あり得ないほど覚醒している。元気すぎるだろ……と隕石が呆れていた。寝ぼけた隕石が「あん肝パイナップル……」と呟いていたので、それに限りなく近いものを探して献上すると、「まずい」と言われた。それから三人であさ四時から開いている喫茶店でモーニングをいただいた。帰り道、隕石が「ここの店主さん絶対ハクビシンだよ」と言っていて、大きく頷いた。駅でシャチと別れる。抱擁を交わした。「かなりクマの抱擁に近いよね」と隕石は言っていた。
美味しくないフルーツへの冷酷な態度
背骨の職能に巻き込まれている
葱も怯むニューフェイスのさざなみ
水門は肉の階下を旅行する
蜘蛛のドラム譜をほぐしきる
きらきら星の沿岸部は畑仕事
葡萄棚が世相の下で濡れている
人のかたち、と、オルタナティブの袋とじ
浄水槽に歯茎の冷淡さがみえる
ミジンコの回廊が気持ちいい
2025年12月17日(水)
図書館から出ると雨足が強まっていた。雨宿りも兼ねていつも立ち寄っている古本屋に行こうと思ったら定休日。喫茶店も、リサイクルショップも、花屋も、雑貨屋も、服屋も、ケーキ屋も、すべてが閉まっている。水曜日はみんな休んでいる、了解。
帰路の途中で大判焼きの屋台が出ていた。粒あん2個、カスタード1個を頼む。左手に500円玉を握って、大判焼きの入ったずしりとした袋を受け取る。店主の方が不安そうな顔をしていた。どうしたのだろう、と思って雨が降っているのに屋台の小窓が開いているのに気がつく。この窓を閉めてほしいのだろう、と思って、「今閉めますね!」と小窓に手をかける。上手く閉まらない。店主さんが何か言っている。窓を協力して閉めようという提案だろうか。雨が強くて声が聞こえない。「すみません!上手く閉まりませんね……」3分くらいもだもだした。店主の方の声がやっと聞こえた。「500円……」あっ。左手にあったかい500円玉があって、慌てて差し出した。もう半分泥棒だった。
遠くで見ると殆ど傷のような傘
柘榴柘榴、秋は釦が多いから
粘液状にブティックは香るのだ
クレヨンは催眠術の余波でくる
議事堂の扉が腐りかけている
風上にすずらんテープの西改札
地球の匂いに負けてみたい
夏草を魔改造しても敵わない
玉手箱 GLITTER DISC-Remix
シナモンスティックも裏返る白夜
2025年12月8日(月)
インフルエンザが治った。今日は久しぶりに外に出ちゃうぞ〜!と息巻いて散歩をした。換気はしていたけれど、やっぱり全身が外気にそのままの形で触れる充足感は味が違う。外在〜!と思いながら細かい歩幅で走っているか歩いているか判断しづらい感じを試していると、静かな雪みたいな猫がいた。少し高い位置にある田んぼのへりの部分にうずくまってこちらを見ていた。大丈夫だよ〜の意味で歩いて、ちょっと会釈をした。猫は逃げなかった。よかったー……。毎回猫が自分のせいで逃げてしまったとき「俺がここから追い出してしまった……」の気持ちでしばらくどんよりしてしまうので、今回はかなりホッとした。静かな雪のようであり、とても柔らかいお餅のような猫だった。散歩をして、面白い佇まいの植物の写真をいくつか撮った。写真を撮っておくと絵を描くときにとても役立つ。今日は2枚くらい新刊用の絵を描きたい。流れで花屋の前を通った。ともだちみたいな、綺麗な花瓶があって、ともだちに会いたくなった。
キスが速い季節が来た
錠剤を前歯で持つとき特有の
青果市場に寄っていくBackrooms
蜂の足首に香る不惑の功
日差しが蜂の腹を洗っていく
教典のpurpleからお終いになる
椿のバリアって空調かしら
踏まれた蛇口が十本指を突き上げる
ピラニアが手をあげて汚す冬の耳
墨汁は地球にきてるだけ


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